
本州と九州を結ぶ「第3の道路」となる「下関北九州道路」の建設に向けた都市計画が昨年末に決まった。現在、関門トンネル(国道2号)と関門橋(高速道)があるが、いずれも老朽化が進む。1958年に世界初の海底道路トンネルとして開通した関門トンネルの現状を取材した。
今年1月、管理するNEXCO西日本九州支社の案内で、関門トンネルに並行して走る「パイロットトンネル」に記者が入った。関門トンネル開通の19年前の39年に掘られた調査用のトンネルだ。

1日4800トンの水流入、地下のポンプで排水
海底に伸びる薄暗い通路を、身をかがめて進む。地面には所々に水がたまっており、一部からは溝を伝って大量の水が流れていた。開けた空間には、背丈を超える巨大な排水ポンプが横たわり、轟音(ごうおん)を上げて動いていた。
「関門トンネルには1日約4800トンの水が入ってくるので、ポンプで排水しています。もしポンプがなかったら3時間ほどでトンネルは水没します」。同社の智原洋輔・北九州高速道路事務所施設第一課長(37)が説明してくれた。ポンプは17台あり、20分に1回の排水を24時間繰り返す。老朽化で水がしみ出ている訳ではない。海底トンネルという特性上、流入を完全に遮断することは難しく、開通時から排水を続けているという。


開通は1958年、1日2万5千台が通行
同社によると、関門トンネルはパイロットトンネルが開通した39年に着工。戦時の中断を経て、58年に開通した。トンネルの全長は3461メートル。そのうち780メートルが海底部で、最深部は海面下約56メートルを通る。
パイロットトンネルの扉から車道をのぞくと、多くの車がエンジン音を響かせて行き交うのが見えた。

車道は1日約2万5千台が通行するという。円形のトンネルの断面をみると、下部に人や自転車が通る「人道」、その上に片側1車線の国道、さらに上が排気ダクトになっている。
トンネルから下関市の地上に向けて伸びる立て坑にも案内された。巨大な空間に、排気設備が6基ずつ設置されており、24時間体制で換気が行われていた。立て坑は、本州側と九州側に二つずつ立っている。

定期的な補修で維持、費用確保へ値上げも
海水がしみ出す構造上、腐食による損傷も激しく、抜本的な補修を定期的にする必要がある。14年には60日間、全面通行止めにして床板の取り換え工事を実施。同様の工事は、10年に1回ほどのペースで行っているという。
開通から70年近くが経ち、コンクリートがはがれた部分の補修や、古くなった排水設備や照明の更新費用も重くのしかかるという。それを補うため、現在160円の普通車通行料を、今年6月に230円、30年ごろに300円に値上げし、維持費に充てることが決まっている。
麻生洋幸・統括課長(50)は「トンネルは均一に力がかかる設計になっており、トンネル自体がいずれ使えなくなるという想定はしていないが、定期的な補修は必要」と言う。下関北九州道路を念頭に、「全面通行止めの際の代替路は、関門橋だけでなく複数あった方がありがたい」と話す。
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