住友ファーマは2日、新株式発行に向け発行登録すると発表した。発行予定額は最大1400億円。発行株式数は6000万株を上限とする。同日に発表した、がん・精神神経領域を軸とする29年3月期までの成長戦略を進めるため、研究開発や設備投資などの資金を確保する。発行期間は2026年3月10日から1年間とする。
同社は2024年3月期に3000億円の最終赤字を計上し財務が悪化した。人員削減や事業再編を進めてきた。今回の公募増資を通じて成長投資に向けた財務基盤を一段と強化し、本格的な成長フェーズへの回帰を目指す。
公募増資は新株を発行して広く投資家から資金を調達する手法で、借入とは異なり返済義務がない。自己資本を増やして財務体質を強化できる一方、既存株主にとっては1株当たり価値の希薄化が生じる可能性がある。同社は調達規模や希薄化の影響を踏まえ、機動的に実施するとしている。
調達資金は研究開発資金、設備投資、投融資、有利子負債の返済などに充てる。2020年に発行した総額1200億円の劣後債については、初回任意償還日に期限前償還する予定で、今回の資本増強をその借換証券と位置づける。今回の増資では、親会社の住友化学を引受先に指定する予定はない。増資が実行されれば住友化学の議決権比率は低下する見込みだが、引き続き連結子会社の位置づけは維持される見通し。
同日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比4.3倍の1020億円になる見込みだと発表した。従来予想から100億円上方修正した。同年通期の上方修正は3度目となる。北米で過活動ぼうこう治療薬「ジェムテサ」の販売が想定を上回ることに加え、想定為替レートを1ドル145円から150円に見直したことが寄与する。
売上高に当たる売上収益は13%増の4490億円、営業利益は前期比3.7%増の1080億円を見込む。それぞれ前回予想から200億円、100億円上振れする。
29年度までの成長戦略の中では、主力の前立腺がん治療薬「オルゴビクス」と「ジェムテサ」の売上収益を2029年3月期までに合計3500億円規模に伸ばす目標を掲げた。両製品の拡販により足元の収益基盤を拡大する。
2つの抗がん剤候補を次の成長の柱と位置づける。いずれも29年3月期までに上市し、ピーク時の売上収益はそれぞれ1000億円以上を見込むとした。研究開発費には3年間で1800億円超を予定し、成長投資と財務規律の両立を図る。
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