日立製作所は23日、2026年度から信託スキームを用いた従業員向け株式報酬制度を導入すると発表した。信託スキームは運営費用などのコストがかかる半面、幅広い従業員に株式を無償付与するために必要となる煩雑な手続きを回避できるメリットがある。
株式の無償付与は金銭の払い込みを従業員に求めず、報酬として自社株を譲渡するものだ。会社法では上場企業の取締役や執行役に対して認められている。従業員に付与する場合は金銭債権を付与した後に現物出資させるなどの手続きが必要となる。会社側の実務負担が課題となり、規制緩和が法制審議会(法相の諮問機関)の部会で議論されている。
日立が導入する信託スキームでは、三菱UFJ信託銀行を受託者とする信託内に金銭を拠出し、それを原資として株式市場または日立から株式を取得してもらう。取得した株式を対象者に付与する仕組みで、対象者一人ひとりに対する会社側の実務負担が軽くなる。
信託が株式取得する総額は650億円とした。付与の対象者は26年度に世界40カ国超の管理職約1800人を見込む。職位などに基づきポイントを従業員に割り当て、勤続年数など一定の条件を満たした場合にポイントに応じて株式を与える。
導入の狙いについて日立は「従業員と株主の利益を一致させることで、長期的な企業価値の創出や従業員のエンゲージメント向上を目指す」などとしている。
信託の期間は26年4月7日から31年6月末まで。信託内の株式が付与し終えた場合、その時点で運用は終える。
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