ユーハイムの研修施設ではテオを使ったバウムクーヘン製造を学ぶことができる(3月24日、神戸市)

洋菓子製造・販売のユーハイム(神戸市)が、人工知能(AI)を搭載した自社開発のバウムクーヘン専用オーブン「THEO(テオ)」の外部利用を広げる。職人が手がけるように焼き加減を自動調整する機器で、業務用としてホテルや菓子店に貸し出して収益源とする。25日にはテオを使ったバウムクーヘン製造の社外向け研修施設を本社内に開設した。

研修施設には3台のテオを配置し、菓子店の開業を検討する個人や事業者を対象に有償で講習を行う。最短2日で修了する実習から、商品企画と販売準備も含めて4日間かけて事業ノウハウまで学ぶものまで4つのコースを用意している。

現在20台ほどを外部にレンタルしているが、2027年中には100台まで増やす。貸し出し自体は無料で、できあがった商品の売り上げの2〜3割を報酬として得るビジネスモデルだ。

テオはディスプレーと合わせて高さ1.8メートルほどの縦型のオーブンで、機内に配置した軸が回転しながら下の皿にためた液状の生地をすくい取り、上部のヒーターで焼き上げる。長さ34センチメートルほどのバウムクーヘンができる。

職人が焼く生地の焼き具合を各層ごとに画像センサーで解析し、そこで得たデータを機械学習させたAIがオーブンの動作を制御する。ユーハイムの熟練職人や、ロボット工学の研究者などが集まって約5年がかりで開発し、20年に完成した。

ユーハイムは25年10月まで開催されていた大阪・関西万博の会場内に出したカフェでテオを披露している。「AIと人間との幸せな関係性を示す」(ユーハイムの河本英雄社長)ねらいで、テオの認知度向上にもつながった。

ユーハイムが本社1階に開いたショールームでは大阪万博で使用したテオを展示する(3月24日、神戸市)

洋菓子メーカーで調理機器まで開発するケースは珍しい。河本社長はバウムクーヘン製造でのAI活用について「職人の技術の民主化」を掲げる。精緻な技法をAIで再現できるようにすることで、良質な菓子を広めることができると考える。特色あるバウムクーヘンが増えて日常に定着すれば、「本家」であるユーハイムを訪れる客も増える。

ユーハイムは1922年の創業から100年以上の歴史を持つ。創業者はドイツの菓子職人だったため郷土の伝統菓子となるバウムクーヘンが主力商品となった。本来は製法やレシピをブラックボックス化して利益を守るところだが、テオを通じてオープンにすることで商機を広げる。

(大沢友菜)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。