日産自動車は8月26日、高性能スポーツ車のR35型「GT-R」の生産を終了したと発表しました。スバルは多目的スポーツ車(SUV)「レガシィ アウトバック」の国内販売を3月末に終えています。いずれも熱烈な支持層が存在するクルマで、SNSなどではファン嘆きがあふれています。固定客がついているのに生産・販売をやめる製品・サービスは他にも多く、事情が分かる記事を選んでみました。(内容や肩書などは掲載当時のものです)

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安全規制や道路事情が影響

最近の車の多くは自動ブレーキを搭載するようになりました。前方の危険を察知してドライバーに知らせるとともにブレーキを作動させ衝突を回避するもので、国交省では「衝突被害軽減ブレーキ」という名称を使っています。このブレーキを取り付ける義務の領域は徐々に拡大し、12月からは軽トラックを除くすべての継続国産車が義務化の対象となります。今のGT-Rは2007年の登場からフルモデルチェンジをしていませんので、抜本的な対応が難しいのではないかとの見方がクルマ好きの間ではありました。生産終了の背景にはこんな事情もあるもようです。

  • ・日産、スポーツカー「GT-R」生産終了 社長は復活示唆
  • ・高齢ドライバー、車選びは運転支援機能で
  • ・スバル、米国で新型EV公開 26年から自社工場で生産
  • ・SUBARUの「レガシィ」、国内販売を終了へ

スバルのアウトバックは国内では販売が終わりましたが、北米では大人気で引き続き同社の中心車種との位置づけです。海外消費者の嗜好に合わせてサイズをどんどん大きくしていったため、コンパクトなクルマが好まれる日本の道路事情に合わなくなったことが今回の措置の一因とみられています。

  • ・トヨタ、カローラのガソリン車廃止 3車種でHV一本化
  • ・マツダ6生産終了へ 前身アテンザから23年間の歴史に幕
  • ・テスラ、日本向け2車種生産終了へ EV販売低迷で

利用者から撤回求める声も

愛好家に惜しまれつつ終了という形は一種の美談として受け止められがちですが、製品やサービスが生活インフラに近いものだったり代替品がないものだったりすると、そうもいきません。キユーピーは育児食(離乳食・幼児食)事業からの撤退を決めました。少子化による販売低迷に加えて生産コストが上昇し収益を確保できなくなったためですが、子育て世代からは「撤退の撤回」を求める声が出ています。旭化成は市況の悪化から基礎的な化学品である「MMA」など4事業を終了します。生産拠点の川崎製造所は川崎市臨海部にあるコンビナートの中核施設でもあり、コンビナート全体の競争力低下を懸念する意見が化学メーカーのなかにはあります。

  • ・キユーピー育児食撤退、値上げがとどめ 消費者は困惑
  • ・旭化成、アクリル樹脂など4事業から撤退 川崎は水素拠点に
  • ・コクヨがランドセル生産撤退 消費者ニーズ多様化、機能と安さが埋没
  • ・ボージョレ撤退のメルシャン社長「新酒文化は日本ワインで継承」
  • ・大正製薬「ヴイックス ヴェポラッブ」販売終了、9月末で
  • ・アシックス、パークゴルフ用品から26年秋撤退 グラウンドゴルフも
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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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