記者会見する林芳正総務相(3月31日、東京都千代田区)

総務省は31日、1つの放送局が同一地域で複数のチャンネルを持つ「1局2波」を容認する報告案を有識者の検討会で示した。放送の多様性を確保する「マスメディア集中排除原則」を緩和する。

今後、地方テレビ局の再編進展につながる可能性がある。1局2波を認めれば、経営統合や設備の共通化によりコスト削減が見込める。

報告案は地上テレビ放送について「ローカル局の経営基盤を強化する観点から、同一放送対象地域内の複数局の兼営・支配を認めることが適当である」と明記した。

1局2波に関して「効率化によって得られたリソースをコンテンツ制作や地域における新たなビジネス展開に割り振ることも期待される」と記した。例えば、1つのチャンネルをニュースや地域情報に特化し、別のチャンネルをバラエティー中心にするといった柔軟な番組編成を通じ、魅力的なコンテンツ作りにつながる可能性があると指摘した。

人口減少や広告収入の低迷で地方テレビ局の経営環境は厳しい。2024年度のローカル局の営業利益は10年前と比べ57%減った。総務省の調査によると23年以降はテレビ視聴の時間がインターネット利用を下回り、テレビ離れが加速している。

ラジオは11年以降、同一地域内での兼営・支配が可能だ。テレビ放送についても規制を緩和し放送局の経営の選択肢を広げる。

総務省は、意見公募を経て5月にも正式に報告をまとめる。林芳正総務相は31日の記者会見で「とりまとめを踏まえつつ、必要な取り組みを進めていく」と述べた。

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