KDDI子会社の広告代理事業で起きた架空取引を巡り、実行主体とされる子会社の社員2人による取引の動機や手口が31日、弁護士らでつくる特別調査委員会の報告書で明らかになった。
調査委は、取引の実行主体がジー・プランの社員でビッグローブに出向していたA氏とB氏の2人だと結論づけた。KDDIや傘下のビッグローブやジー・プランにおいて、他の関与者はおらず、会社としての組織的関与はないとした。
報告書によると、A氏は2017年ごろにジー・プランで広告代理事業を立ち上げた。だが、18年2月ごろに数十万円の赤字を計上。「売り上げ・利益を改善できない場合には撤退しなければならなくなる」との焦りを抱き、遅くとも同年8月から架空取引を開始した。
その後「取引金額が雪だるま式に増えていく中で循環取引を止められなくなった」としている。
飲食代などとして3000万円の現金受け取り
A氏は今回の取引について「関係者や自己の私的利益のために行ったものではない」と話す。一方、一部の広告代理店の代表者から、23年9月〜25年12月に飲食代などとして約3000万円の現金を受け取っていた。報告書は取引を中止しなかった一因となった可能性も否定できないとしている。
B氏は、A氏の指示に従い取引に関与。A氏に対し、A氏の紹介でジー・プランに入社できたことへの恩義を感じていた。取引の全容については十分に理解できていなかったという。
ジー・プランやビッグローブは、広告代理店間のウェブ広告取引を仲介し、対価として成果件数に応じて手数料収入を得るビジネスを行っていた。今回の取引では広告主が存在するかのように装って架空の広告掲載業務を受発注した。架空取引に関わった企業は21社に上った。
やり取りを2人で独占、他の役職員を関与させず
A氏やB氏は、発覚を免れるための対応も行っていた。ジー・プランが関与しない形で取引先の代理店同士が接触することがないようにしたほか、成果単価の高額な商品を選定し、取引金額が高額であることの説明もつくようにしていた。
やり取りはA氏とB氏が独占し、他の役職員には関与させなかった。他の役員らが疑問を抱いた際は、「各代理店の取引先が明らかになると当該代理店を介さずに直接取引が可能になる」とし、「商流は確認しないのが業界の取引慣行」などと説明した。
虚偽の成果リポートを作成する際、成果件数が減少する時期も設けるなど現実性を持たせる工夫を行っていた。
報告書では、各企業に対する問題点も指摘された。KDDIやビッグローブ、ジー・プランについては広告代理事業に関する知見やリスク感度の不足を挙げた。子会社2社については特定の担当者への業務の集中、与信管理の不十分さなどを指摘した。
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