日本郵便 不適切点呼 軽自動車の一部使用停止処分通知 国交省

Q. この問題の経緯は?

「貨物自動車運送事業法」では、自動車を使って運送業務を行う事業者に対して、安全を確保するため、乗務の前後に運転手の健康状態や飲酒の有無を確認する点呼を行うことが省令で義務づけられています。

しかしことし1月、兵庫県にある郵便局の集配センターで、数年間にわたって配送車の運転手に対して、点呼が行われていなかったことが明らかになりました。

これを受けて日本郵便が全国3188か所の集配拠点を調査したところ、75%にあたる2391か所で点呼が適切に行われていなかったことが確認されました。

国土交通省が実施した監査でも法令に違反する行為が確認され、ことし6月、日本郵便はトラックなどを使った運送事業の許可が取り消されました。これによって、トラックやバンタイプの車両、およそ2500台が5年間、配送に使えなくなっています。

Q. それに加えて、今回はどのような処分の方針が示されたか?

今回は、軽自動車を使った運送事業への処分の方針が示されました。

日本郵便は、すでに処分を受けたトラックなどを使った運送事業のほかに、3万台あまりの軽自動車を運送事業に使っていて、国に届け出を行っています。郵便局間の荷物や郵便物の輸送はトラックなどの大型車両で、住宅への配達などは軽自動車で行ってきました。

点呼の不備はこの軽自動車でも確認され、国土交通省の監査を受けていました。その結果、これまでにおよそ100の郵便局で点呼の記録を改ざんするなどの違反が確認されたとして、これらの郵便局を対象に軽自動車の一部を一時的に使用停止とする処分を行う方針を会社側に通知しました。

法令では、使用停止となる車両数は1つの営業所あたり最大で半数までと定められていて、国土交通省は会社側に意見を求めたうえで、10月にも正式に処分を行う方針です。

また、ほかの郵便局でも違反が確認されれば追加で処分を行う方針です。

Q. 法令違反に対する処分は当然と言えるが、多くの車両が使えなくなることで荷物の配送などがこれまでどおりできなくなるおそれはないのか?

日本郵便は、郵便事業への影響が出ないように対応するとしています。

すでに6月からトラックやバンタイプの車両が使えなくなっていて、会社はこれらの車両を使った配送業務全体のおよそ6割を他社に委託しました。

残りの4割ほどはまだ処分の出ていない軽自動車を使って、荷物の集荷や配送にあたってきました。

今回の処分が決まれば、トラックなどの代わりとして使われてきた軽自動車の一部も使用できなくなります。

このため日本郵便は他社への業務委託を増やすほか、処分の出ていない郵便局の車両を軽自動車が使えなくなった地域に回すなどして、影響を最小限にとどめたいとしています。

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