
全国の都市ガス会社が加盟する日本ガス協会の内田高史会長(東京ガス会長)は4日の記者会見で、東ガス、東邦ガス、三菱商事などが計画する米国の合成メタン製造事業について「事業環境が厳しくなっている」と危機感を示した。米トランプ政権による脱炭素化支援策の見直しや資機材・労働者のコスト増が背景にあるとした。
都市ガス業界は、都市ガス原料に液化天然ガス(LNG)を使っているが、LNGは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出するため、水素とCO2から人工的に生成する合成メタンに切り替える計画だ。合成メタンは再生可能エネルギー電力由来の水素や、大気中などから回収したCO2から作れば、実質のCO2排出量はゼロとみなされる。
東ガスなどが米国で計画する合成メタン製造事業「ReaCH4プロジェクト」は2025年中に投資の是非と概要を決めたいとしている。政府は東ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社に合成メタンかバイオガスへの燃料転換を義務付けており、30年度に小売供給量の1%をそれらに転換する目標を定めている。
米国では再生エネ由来の水素への税額控除が見直されたため、同プロジェクトの採算性が見通しにくくなっている。内田会長は「合成メタンはなんとしても進めたい」とし「どのように工夫すれば意思決定できるか考える」と述べた。

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