
中国・九州地方でショッピングセンターなどを運営するイズミは9日、自社開発のプライベートブランド(PB)「ゆめイチ」の発表会を開いた。物価高が長期化する中、低価格の食品のPBは大手スーパーの間で競争が激しい。「最後発」を自称するPBで巻き返しを狙う。
「最後発だからこそ最高のPBを目指したい」。山西大輔副社長は9日の発表会で強調した。
ゆめイチは、価格訴求の「プライス」、通常価格の「レギュラー」、高付加価値の「プレミアム」の3種類をそろえる。11日にまずは50品を発売し、2026年2月期には「プライス」と「レギュラー」の124品に広げる。31年2月期には750品まで拡大する。
業務提携するセブン&アイ・ホールディングスから提供を受けるPB「セブンプレミアム」などを含め、36年2月期には食品売り上げに占めるPB比率を1割まで引き上げる目標だ。
総務省によると、7月の消費者物価指数は、生鮮食品を除く食料が前年同月比8.3%上昇した。消費者の節約志向は強まっている。

PBは食品メーカーのナショナルブランド(NB)より低価格なうえ、粗利益率が10ポイントほど高い場合もある。競合店との差別化になり、来店の動機にもつながる。
「プライス」は粗利益率を抑え、競合他社のPBと比較しても「求めやすい価格を提示して訴求する」(山西副社長)ことで集客力を高める。
イズミは24年に西友の九州事業「サニー」を買収した。サニーの効率的な店舗運営ノウハウを各店に取り込んで販管費比率を引き下げることで、PBなど食品の低価格化を実現していく考えだ。
イズミが出店する九州や中国地方などでは食の好みや習慣が異なる。地方に合わせた食品PBを開発して均一的な大手のPBとの差別化を図っていく。
イズミは将来的に食品スーパーを300店体制にすることを目標に掲げる。足元から102店増やす。食品スーパーを成長の原動力に据えるイズミにとって、念願ともいえる自社PBにかける期待は大きい。
(北川裕猛)
【関連記事】
- ・イズミ、PB「ゆめイチ」9月から発売 価格志向に対応
- ・イズミ新社長、物価高でも「経営効率上げて安くする」
- ・減益のフジとイズミ、人件費など3つの壁 PBで利益確保

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。