日本出版販売の「BUNKITSU TOKYO」内にあるカフェスペース(10日、東京都港区)

出版取次大手の日本出版販売(日販、東京・千代田)は10日、入場料を払って飲食しながら読書ができる書店「文喫」の新店舗を公開した。商業施設「ニュウマン高輪」(東京・港)内に12日、オープンする。面積は既存店舗の約3倍の1000坪(約3300平方メートル)超と文喫ブランドとしては最大規模の店内に10万冊をそろえ、旗艦店とする。

新店舗「BUNKITSU TOKYO」は、日販子会社のひらく(東京・千代田)が運営する。 カフェと書店のスペースに分かれ、カフェでは1時間1100円の入場料を払うとコーヒーや紅茶を飲みながら読書ができる。コンセントやWi-Fiを整備した223席を備え、リモートワーク利用も見込む。別料金で軽食も用意した。

入場料を取らない書店エリアでは、小説や漫画、雑誌などの新刊を販売する。一般の書店と同様にジャンル別に並べた書棚のほか、スタッフによる選書で絵本から専門書までを織り交ぜて配置した棚もある。

「BUNKITSU TOKYO」の書店スペースに置く本を選書するスタッフ(10日、東京都港区)

文喫ブランドの既存3店舗のうち、これまでは名古屋の店舗が370坪(約1220平方メートル)で最大だった。新店舗では1000坪超と大幅に面積を増やした。有料の読書スペースを主体としてきた既存店と異なり、無料で入れる書店エリアを広く取った。

「大型の商業施設に、きちんと書店があることが重要だ。本屋として楽しんでもらえることを意識した」とひらくの染谷拓郎社長は話す。国内の書店はこの20年で半減した。日販の主力事業は出版社の本を書店に卸す取次だが、文喫ブランドでは書店ビジネスの活性化にも取り組む。

ひらくは文喫のオリジナルグッズを電子商取引(EC)サイトで販売することも検討している。ブランド力を高めて書籍販売にとどまらない展開を目指す。

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