GSユアサと北海道大学が共同研究して開発したCO2回収機の実証機(10日、滋賀県栗東市)

ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)は工場の排ガスから二酸化炭素(CO2)を分離・回収する装置を新たに開発した。CO2が溶け込んだ溶液に電気を流すことでCO2を取り出す。溶液を加熱してCO2を取り出す装置よりも小型でエネルギー効率が高い。設置場所に限りがある中小工場への納入を目指す。

北海道大学と共同研究し、電池技術を応用した実証機が稼働した。99%以上の高い濃度でCO2を回収できる。電気抵抗をできる限り小さくすることで、加熱する方式に比べて3割ほど消費エネルギーを抑えた。価格は数千万円ほどで2030年度の発売を目指す。

実証機の大きさは高さ1.8メートル、幅3メートルほど。1日300グラムのCO2を取り出せるが、将来的には20フィート(約6メートル)のコンテナサイズで1日1トンのCO2を回収できるようにする。

構造は燃料電池に似ている。まず、CO2を吸収しやすい水酸化カリウム溶液に排ガスを混ぜる。CO2を含んだ水酸化カリウム溶液に、水素ガスと電気を加えてCO2を取り出す。水素ガスと溶液は循環するため、メンテナンスを除くランニングコストは電気代のみだ。

GSユアサはCO2回収装置を新事業の一つに掲げる。電気を使ったCO2回収装置は世界的にも珍しいという。装置の製造はリチウムイオン電池の生産設備を一部活用できる。環境意識の高まりで中小工場でもCO2回収装置の需要が高まるとみる。

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