欧州中央銀行(ECB)=独西部フランクフルトで2017年10月27日午前、三沢耕平撮影

 欧州中央銀行(ECB)は11日の定例理事会で、市場の予想通り、民間銀行が資金を預ける際の中銀預金金利を2・0%に据え置くと決めた。2会合連続。欧州連合(EU)が懸案だった米トランプ政権との関税を巡る交渉で合意にこぎ着けたことを受け、記者会見したラガルド総裁は、前会合から始まった様子見の路線が当面続く可能性をにじませた。

 「貿易の不確実性は明らかに減った」。ラガルド氏は会見でこう述べて米EU間の関税を巡る合意を評価した。

 米国とEUは、自動車を含めEUの対米輸出品への関税を15%とすることで折り合った。EUにとっては、トランプ政権以前と比べれば大幅な税率引き上げとなるが、当初の税率よりは下がり、大半の国・地域よりは低くなった。交渉が決裂して報復関税の応酬となる事態も避けられた。

 ラガルド氏は、経済成長を巡るリスクについて「より均衡している」と表現した。「引き続き下方に傾いている」と述べた7月の前回会合から改善した。

 EU統計局によると、ユーロ圏の8月の消費者物価指数上昇率(インフレ率)は前年同月比2・1%とおおむねECBの中期目標と合致している。新たに公表した見通しでも、26年のインフレ率は1・7%と予想し、関税合意前の6月に発表した1・6%からほとんど変わらなかった。

 金融市場では、次回の10月会合も金利は据え置かれ、利下げが議論されるとしても、次の12月会合以降になるとの見方が強まっている。【ブリュッセル岡大介】

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