外国人客らでにぎわうオニツカタイガーの店舗(24年8月、東京都渋谷区)

アシックスは13日、2025年12月期の連結純利益が前期比36%増の870億円になる見通しだと発表した。もともと最高益となる22%増の780億円を見込んでいたが、さらに90億円上振れする。ランニングシューズなどの販売が好調に推移する。年間配当を従来予想より2円多い28円(前期は株式分割を考慮した水準で20円)にする計画も好感され、株式時価総額は初めて3兆円を上回った。

売上高は18%増の8000億円、営業利益は36%増の1360億円になる見通し。それぞれ従来予想を200億円、160億円上方修正した。会社予想の純利益は直近の市場予想の平均値(QUICKコンセンサス、843億円)を3%上回る。

安価な入門モデルのシューズを絞り込む戦略や、インバウンド(訪日外国人)らに人気の高級ブランド「オニツカタイガー」の販売が業績をけん引する。4〜6月のインバウンドによるオニツカタイガー事業の売上高は111億円と、前年同期からほぼ倍増した。

25年12月期は、7月にフランスのパリ中心部のシャンゼリゼ通りに日本発のブランドとして初めての直営店を出すなど、海外市場の開拓に力を注ぐ。こうした取り組みにより、売上高営業利益率は17%と前期から2ポイント超上昇する見通しだ。

アシックスの富永満之社長は13日の決算説明会に出席し、米国の関税政策が25年12月期の業績に与える影響額について「従来見込みの50億円から30億円程度に縮小しそうだ」と述べた。同社は米国で販売するシューズの大半をベトナムやインドネシアなどから輸出する。米国がベトナムなどに課す最新の関税率を精査した結果としている。

その上で、富永氏は「26年前半まで関税を理由にした値上げは実施しない」方針を明らかにした。ライバルの米ナイキなどは値上げを表明しているが、林晃司・最高財務責任者(CFO)は「価格を据え置くことで米国市場における販売シェアを高めたい」と話した。

富永社長は13日、米関税を理由にしたシューズの値上げは「26年前半までしない」と述べた

アシックスは26年12月期を最終年度とする中期経営計画で、連結営業利益を1300億円以上、売上高営業利益率を17%以上に引き上げる目標を掲げている。13日の業績見通しの修正により、目標を1年前倒しで達成する可能性が出てきた。中期計画の数値は見直さず、今期や来期は個人投資家の投資家向け広報(IR)活動を強化する。

13日の東京株式市場では、午後1時の決算発表を受けてアシックス株が大幅続伸した。一時12日終値より657円(19%)高い4187円をつけ、上場来高値を更新した。13日の終値は4163円、終値ベースの時価総額は3兆576億円となった。

広田康人会長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に「我々の成長に対する取り組みを市場が評価してくれて、うれしく思う」と話した。

13日発表した25年1〜6月期の連結決算は、純利益が536億円と前年同期比27%増えた。1〜6月期としては3期連続で最高益を更新した。売上高は18%増の4027億円、営業利益は38%増の811億円だった。

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