建て替えの解体着工が遅れている「TOCビル」(24年、東京都品川区)

テーオーシーは16日、東京・五反田で建て替えを計画している複合施設「TOCビル」(東京・品川)の解体の着工時期が2036年以降になると発表した。当初は23年春ごろを計画していたが24年に「33年ごろ」にずれることを公表していた。建築費の高騰でさらに3年遅れることになる。

TOCビルは1970年に竣工し、家具や衣類の卸売業が軒を連ねる商業ビルとして知られていた。テーオーシーは21年、築50年以上がたつTOCビルをオフィスや商業などの高層複合ビルに建て替える計画を発表した。23年ごろに解体着工し、27年ごろの完成を見込んでいた。

だが建築費の高騰で計画を見直し、24年に着工時期を「33年ごろ」と10年先送りする方針に転換した。建物を検査するため、24年3月末に一時閉館してテナントが退去したものの、同年9月からビルの賃貸や催事事業を再開。ビルの稼働率は25年9月末で41%まで戻るという。

ただ依然高止まりしている建築費や、テナントの賃貸借の契約期間を10年程度に延ばしたことも受け、着工を36年以降に延ばすことを決めた。現在のビルは耐震補強工事やリニューアルを進める。

同社は建て替え計画について「収益性や投資の早期回収のために分譲事業を加えるなど設計プランを変更する可能性がある」としている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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