金与正・朝鮮労働党副部長=ロイター

【ソウル=小林恵理香】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は14日、韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権の対北融和姿勢を否定する談話を公表した。同日、朝鮮中央通信が伝えた。

金与正氏は7月28日にも李在明政権との対話を否定する談話を出している。

李在明政権は北朝鮮との対話による緊張緩和を掲げ、北朝鮮に強硬な立場だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権から方針転換した。金与正氏は「尹政権時代に一方的にとった措置をなくすことで、大きなことをしたかのように評価されることを望んでいる」と評した。

李政権は6月に北朝鮮との軍事境界線付近に設置した拡声器を使った宣伝放送を停止し、8月に入り拡声器を撤去した。北朝鮮側も呼応して同様の動きをしているとの見方が出ていたが「拡声器を撤去したことはなく、撤去する意向もない」と否定した。

米韓両軍が18〜28日に実施する朝鮮半島有事を想定した大規模な合同軍事演習については「演習を通じ韓国の敵対的な姿が確認されるだろう」と強調した。猛暑を理由に一部の野外機動訓練を9月に分散実施すると決めたのも北朝鮮への配慮とみられていた。

韓国大統領府関係者は14日、金与正氏の談話を巡り「南北間の不信の壁が高いことを確認した」と語った。「北朝鮮側は緊張を緩和する小さな行動が積み重なってこそ、大きな平和の道が開かれるとの事実を肝に銘じなければならない」と主張した。

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