ガザ地区北部にある最大都市、ガザ市について、イスラエル軍は制圧に向けた地上作戦を始めたと16日、明らかにし、17日の発表では、イスラム組織ハマスの武器の製造施設を攻撃したなどとして成果を誇示しました。
また、ガザ市の上空から「歩いてでもすぐに避難すべきだ」などと書かれたビラをまき、10キロ以上離れた南部の地域に退避するよう警告しました。
カッツ国防相は17日、「ハマスが人質を解放せず、武装解除しなければ、ガザは破壊されるだろう」などとSNSに投稿し、ハマスへの圧力を強めています。
一方、ガザ地区の保健当局は、16日夜にガザ市の小児病院が3回攻撃され、入院患者の半数近くにあたる40人が退避を余儀なくされたと発表し、イスラエルを非難しました。
また、ガザ地区では過去24時間に98人が死亡し、2023年10月の戦闘開始からの死者が6万5062人になったと明らかにしました。
ガザ市での地上作戦についてイスラエル軍の報道官は「街を支配下に置くのに数か月かかる」との見通しを示していて、作戦の長期化で犠牲者がさらに増えることが懸念されます。
EUのヨーロッパ委員会 イスラエルへの制裁を加盟国に提案

EUのヨーロッパ委員会は17日、ガザ地区への攻撃を続けるなどして人道状況を悪化させているとして、イスラエルに対し、関税の優遇措置の停止や制裁を科すことを加盟国に提案しました。
具体的には、イスラエルから、最大の貿易相手であるEUへの輸入品のうち、およそ4割にあたる58億ユーロ、日本円にして1兆円相当に適用していた関税の優遇措置を停止するほか、極右政党に所属するイスラエルのスモトリッチ財務相とベングビール国家治安相の2人の閣僚について、資産の凍結やEU域内への渡航禁止の制裁を科すなどとしています。
一方で、イスラム組織ハマスの幹部10人も、新たに制裁の対象に加えたとしています。
EUの外相にあたるカラス上級代表は記者会見で「目的はイスラエルを懲らしめるためではなく、ガザ地区の人道状況を改善することだ」と述べました。
これに対し、ドイツ政府の報道官は17日「ドイツのイスラエル政策に根本的な変化はない。イスラエルとの開かれたコミュニケーションを維持していく」と述べ、否定的な見解を示しました。
提案は今後、加盟国による採決が行われますが、ドイツなどの賛成は見通せず、制裁が科されるかは不透明です。
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