中国で、満州事変の発端となる柳条湖事件が起きた9月18日を迎えた。この時期は中国で反日感情が高まるとされ、1年前には広東省で深圳日本人学校の男児(当時10)が登校中に男に刺殺される事件が起きた。公判で日本人が狙われたのかが明らかにされず、大使館も敏感な日に警戒を呼びかけるなかで、現地の邦人は息を潜めるように暮らしている。
深圳日本人学校は18日を休校にした。日中外交筋によると、総領事館や学校が事件についてのコメントを出すことも控える予定だ。1年を経てもなお、表立って追悼できない空気に覆われている。
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中国国内にある他の10校の日本人学校でも、上海の3校、蘇州、杭州、大連、広州の7校は18日、学校に登校しないオンラインの授業を実施する。通常通り授業を行う学校でも、希望をする人はオンライン授業が選択できたり、警備態勢を強化したりするなどの対応をとるという。
今年は中国で抗日戦争(日中戦争)の勝利80周年の行事が続き、18日は東北部の遼寧省瀋陽で柳条湖事件の記念式典が開かれるだけではなく、旧日本軍の細菌戦部隊を題材にした映画「731」も公開される。
こうした中で、中国に暮らす邦人の緊張は高まっている。昨年、日本人学校の送迎バスが刃物を持った男に襲われ3人が死傷する事件のあった蘇州では、今年7月にも日本人女性が石のようなもので殴られる事件が発生。今月にも邦人がトラブルに巻き込まれたとの情報がSNSで拡散し、在上海日本総領事館が飲酒などの行動に注意を呼びかける事態になった。
外務省は、式典や映画の公開などを念頭に、中国に滞在中の日本人に対し、「外で周囲に聞こえるような声量で日本語を話すことなどを極力控える」といった注意喚起をしている。
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