【ニューヨーク=吉田圭織】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比463.66ドル(1%)高の4万4922.27ドルで引けた。米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げをするとの観測が強まり、株を買う動きが優勢となった。

この日はダウ平均に加え、S&P500種株価指数やハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が上昇した。前日比でそれぞれ0.3%、0.1%上げた。

ベッセント米財務長官は13日、米ブルームバーグテレビのインタビューで政策金利は「1.5〜1.75%低い水準にあるべきだ」と述べた。9月に0.5%の利下げを始めてから、利下げを続けるサイクルに入る可能性があると指摘した。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブルハルディ氏は「労働市場の弱さを理由に来月利下げを再開する」とみている。結果的に「FRBは2026年1月までに合計100ポイント利下げすると予想している」とも指摘した。

12日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、利下げ期待が高まっている。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の先物取引から将来の金利水準を予想する「FEDウオッチ」によると、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は13日午後時点で100%と、1日前(93.9%)から上昇した。そのほか、0.5%利下げ観測も(2.1%)浮上した。

出遅れ銘柄にも買いが波及しているようだ。業種別の上昇率上位には、昨年末比の騰落率で最下位(3%安)のヘルスケアが買われた。ユナイテッドヘルス(4%高)やメルク(3%高)、アムジェン(2%)などが上げた。

パラマウント・グローバルとスカイダンス・メディアとの合併が完了し、誕生したばかりのパラマウント・スカイダンスは前日比37%と急騰した。総合格闘技団体「UFC」の米国での放映権を取得したことが個人投資家の関心を集め「ミーム株(はやり株)」となりつつある。

利下げの期待で楽観論が支配的となった。「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)も13日、25年で最低水準の14.38まで下げた。

これまでマイナス材料となっていた関税の悪影響の懸念が後退したのも大きい。これまで発表されている四半期決算は好調であることを受け、シティグループは11日、S&P500種株価指数の2025年末時点での目標水準を従来の6300から6600に引き上げた。モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は「企業の好決算やキャッシュフローの改善で今後6〜12カ月は強気に見ている」と話す。

18日からはターゲットやウォルマートなど小売企業が相次いで決算発表を予定する。米経済を支える消費動向に市場関係者の視線が集まりそうだ。

JPモルガン・チェースのクリストファー・ホーバーズ氏は小売企業の決算について「予想通りの結果になる」と指摘する一方で「低所得者層の消費が弱まり、今後のインフレも予想されるなかで各社の通期業績予想を上方修正する可能性は低い」とも分析している。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。