国際機関に派遣している一部の国家公務員に対し、厚生労働省と環境省が規定より多く給与を支払っていたことが会計検査院の調べでわかった。検査院の試算では、1人あたり最大で年間286万円相当を多く支給していたという。

 国連などの国際機関に派遣された国家公務員の給与は、海外の日本大使館などで働く公務員と同水準にすることが国際機関派遣法や人事院規則などで定められている。国際機関が給与を支払うが、不足分は派遣元の省庁が支給する。

 職員を派遣している各省庁の状況を検査院が調べたところ、2019~23年度に、厚労省では少なくとも11人に年換算で69万~286万円ずつ、環境省では5人に51万~207万円ずつ多い水準で支給していた。日本側の負担分を計算する際、国際機関からの住居手当や扶養手当を踏まえていなかった。検査院が給与明細を入手できなかった職員もおり、過払いの総額は把握できなかったという。

 検査院の指摘を受け、両省は今年7月までに、マニュアルを定めるなどして運用を改めた。厚労省の担当者は「指摘を受け止め、今後は適切に運用したい」、環境省の担当者は「指摘の通り、事後確認が不十分だった。同様のことが起きないよう対応したい」とした。

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