韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外相(19日、ソウル)

【ソウル=小林恵理香】韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外相は19日、ソウルの外国人記者クラブで記者会見し、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟に向けて日本をはじめ関係各国と「必要な交渉を進める」との方針を示した。

CPTPPはモノに対する関税の削減・撤廃だけでなく、サービスや投資の自由化など幅広い分野で経済活性化を促す多国間の協定。現在、日本や英国など12カ国が加入している。加盟には全参加国の同意が必要となる。

加盟承認に向けた日本との交渉の際には福島県などを対象とした水産物の輸入規制が焦点となる可能性がある。趙氏は輸入規制解除は「CPTPP加入の前提条件ではない」と説明した。

韓国は文在寅(ムン・ジェイン)政権時にもCPTPP加盟を検討したものの、農業団体の反発や日韓関係の悪化で議論が停滞した。トランプ米政権の関税政策により、米国向けの輸出入の落ち込みを懸念し、経済界などから加盟を求める声が再び高まっている。

米政権の厳格な就労ビザ(査証)運用について同国と交渉を続けるとも語った。米国で建設中の電池工場で働く作業員らが9月に不法就労の疑いで拘束され、韓国企業の海外事業を巡り不安要因となっている。

ビザ発給問題が関税交渉時に合意した3500億ドル(約52兆円)の対米投資にも影響を及ぼすのではないかと記者団に問われ、趙氏は「投資が実際にはじまる前にビザ問題が何らかの形で解決されるよう最善を尽くす」と話した。

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