愛知県農業総合試験場と京都大学の研究チームが虫よけ効果があるとの研究結果をまとめた、しま模様の牛(2019年、愛知県農業総合試験場提供)

人々を笑わせ、そして考えさせるような研究に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」が米ボストン大学で18日(日本時間19日)発表され、日本人では農業・食品産業技術総合研究機構の研究者らが生物学賞に選ばれた。研究テーマは牛にシマウマのような白黒模様の色を塗る効果。日本人の受賞は19年連続となった。

受賞テーマは「シマウマのようなしま模様を書いた牛がハエに刺されないようになるかを調べた研究」。19年に論文を発表した。具体的には黒毛の牛に白いスプレーで幅4〜5センチのしま模様をつけ、通常の黒い牛、黒いスプレーを用いた牛の3種類を比較した。

牛の右半身に付いたアブやサシバエの数を調べたところ、通常の牛は平均128匹、黒く塗った牛は111匹だったが、シマウマ模様の牛は55匹にとどまった。吸血昆虫を近づけないことで痛みやかゆみのストレスが減り、牛の発育に好影響があると期待される。

農研機構の児嶋朋貴・任期付研究員は受賞について「今後も努力を続けるためのモチベーションになります」と語った。演説中にはスピーチをハエの模型が邪魔をし、しま模様のシャツに着替えると去っていくという一幕もあった。

イグ・ノーベル賞は米国の科学ユーモア雑誌が主催しており、1991年から始まった。今年で35回目となる。日本人は多く受賞しており、昨年は東京科学大学の武部貴則教授らが、哺乳類がお尻から呼吸する能力を持つことを発見したという業績で生理学賞を受賞している。

今年はそのほかに、35年間にわたって自分の爪の成長を記録・分析した研究や、飲酒が外国語の会話能力を向上させることを示した研究などが選ばれた。

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