
【ニューヨーク=中岡敬登】石破茂首相は23日(日本時間24日午前)、ニューヨークで国連総会の一般討論演説に臨んだ。パレスチナの国家承認は「するか否かではなく、いつ承認するかの問題だ」と述べた。戦後80年を念頭に、アジアの人々が「寛容の精神」で日本を受け入れてくれたと語った。
演説では①国連改革②中東③核軍縮④北朝鮮⑤開発――の5つのテーマを取り上げた。
中東情勢について、イスラエルによる攻撃を「この上なく強い言葉で非難する」と語った。パレスチナ側にもイスラム組織ハマスによる人質の解放など責任ある対応を求めた。
日本はイスラエルとパレスチナが平和的に共存する「二国家解決」を支持してきた。首相は「イスラエルによる一方的行為が継続すれば、新たな対応をとることになる」と明言した。

フランスや英国、カナダは今回の国連総会にあわせてパレスチナを国家承認した。日本は米国やドイツなどとともに承認を見送った。
戦後80年の節目にあたり「人類2度目の世界大戦を経験した世代の多くが社会の中心から去った。国際社会は再び分断と対立に向かっている」と指摘した。中東に加え、ウクライナや東アジアの安全保障環境に触れた。
「歴史に真正面から向き合うことなく明るい未来は開けない」と強調した。アジアの寛容の精神が世界の恒久平和の実現に力を尽くす原動力になったと訴えた。中国、韓国、東南アジアとの未来志向の関係に言及した。
創設から80年を迎えた国連改革も訴えた。安全保障理事会の常任理事国・非常任理事国の拡大を求めた。常任理事国のロシアが拒否権を行使して安保理決議を否決し、ウクライナ侵略を続けている状況を問題視した。「国連が抱える内在的な限界は明らかだ」と主張した。
核軍縮にも触れた。「核兵器のない世界」の実現には核保有国と非保有国の双方が参加する核拡散防止条約(NPT)体制が唯一の手段だと訴えた。被爆歌人の短歌を紹介し「広島・長崎を訪れ、被害の実相を知っていただきたい」と呼びかけた。
北朝鮮について、世界の核軍縮の取り組みに真っ向から挑戦していると批判した。「核・ミサイル開発は国際社会の平和と安全に対する重大な脅威だ」と断じた。
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