国連のイベントでビデオ演説する中国の習国家主席(24日、米ニューヨーク)=AP

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は24日、国連が開いた気候変動対策のイベントでビデオ演説し、2035年までに温暖化ガスの排出量をピーク時から7〜10%削減すると表明した。11月の第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)を前に、新たな排出削減目標(NDC)を示した。

中国は二酸化炭素(CO2)の排出量が世界で最も多い。これまで30年までにCO2排出量をピークアウトさせるとしていた。気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」の加盟国は、5年ごとにNDCを提出するよう義務付けられており、国連は24日のイベントまでに35年時点での削減目標を含む計画を示すよう各国に求めていた。

目標達成に向けて、35年までにエネルギー消費に占める非化石燃料の割合を30%以上に高めることや、風力発電と太陽光発電の設備容量を20年比で6倍以上の計3600ギガワットに増やす方針を表明した。

気候変動対策を巡っては、トランプ米政権が発足初日にパリ協定からの離脱を決め、脱炭素に消極的な姿勢を示している。習氏は「一部の国が逆行する動きをみせているが、国際社会は正しい方向性を見失うべきではない」と述べた。

中国が掲げたNDCは他国ほど高くはない。日本は35年度に13年度比で60%減らす目標で、英国は35年までに1990年比で81%削減を目指す。フィンランドのシンクタンクCREAは、パリ協定の目標を達成するために中国は少なくとも2035年時点で23年比30%の排出削減が必要だとする。

習氏は今回、60年とする温暖化ガス排出実質ゼロ達成時期については言及しなかった。日本をはじめとする多くの国は中国よりも早い50年の実質ゼロ達成を目指している。

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