アッバス議長は今回の国連総会への出席を希望していましたが、アメリカのトランプ政権がパレスチナの当局者にビザを発給しなかったため、25日、異例のビデオ演説を行いました。
地元の保健当局の発表で6万5000人以上の死者が出ているガザ地区の状況について「イスラエルの行為は単なる攻撃ではなく、歴史に記録される戦争犯罪だ」などと述べて、イスラエルを強く非難しました。
そのうえで「ガザ地区の住民はおよそ2年におよぶジェノサイド、集団殺害や破壊と飢えに直面している」として、人道支援物資の搬入と一刻も早い停戦の実現を訴えました。
また、今回の国連総会にあわせ、フランスやイギリスなど各国が相次いでパレスチナを国家として承認したことに謝意を示した上で、すべての国にパレスチナを国家承認するよう呼びかけました。
一方で、国家承認を行った一部の国がイスラム組織ハマスが関与しない形で選挙を実施することなど暫定自治政府の改革を求めていることに関連し、おととし10月にハマスが行った奇襲攻撃を非難するとともに「停戦が実現したあと、1年以内に選挙を行う」と述べました。
イスラエル首相 ヨーロッパ上空を避けアメリカへ
イスラエルのネタニヤフ首相は、国連総会で26日、演説を行います。
出発前の25日には、イスラエルの空港で国連総会での演説について「子どもたちを殺害した者を非難するかわりに彼らに国家を与えようとする指導者たちを非難する」と述べパレスチナを国家承認した国を非難すると明らかにしました。
このあとSNSには、アメリカに向かう機内の画像とともに、イスラエルへの攻撃を繰り返すイエメンの反政府勢力フーシ派への攻撃を命じたという内容が投稿されました。
一方、航空機の位置情報などを公開する「フライトレーダー24」のデータによりますと、ネタニヤフ首相が乗ったとみられるイスラエル政府の専用機は、ヨーロッパ上空を避けるように、地中海から、スペインの南のジブラルタル海峡の上空を通ってアメリカに向かいました。
ネタニヤフ首相は、ガザ地区での戦闘をめぐってICC=国際刑事裁判所から戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を出されていて、ヨーロッパにはICCの加盟国が多く、特にスペインは、イスラエル向けの防衛装備を運ぶ航空機が上空を通過することを禁じています。
イスラエルの地元メディアは、政府専用機が今回のようなルートでアメリカに向かうのは初めてで、600キロ以上の遠回りになったと伝えています。
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