国連が「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に定める26日、関連するハイレベル会合が米ニューヨークの国連本部であった。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中聡司代表理事(81)=広島市=が登壇。欧州や中東で続く紛争を念頭に「核兵器が使われるリスクは極限に達した」と危機感を訴えた。
日本被団協によると、メンバーがハイレベル会合で発言するのは初めて。米国や旧ソ連が核実験を繰り返したマーシャル諸島やカザフスタンなどの首脳らに続き、田中さんは市民代表の一人として約3分間スピーチした。
田中さんは「人類が皆『ヒバクシャ』になるのではないか」と切り出した。広島・長崎への原爆投下後の80年で「核兵器を持つ国は2桁に近づき、人類を繰り返し全滅させるほどの核兵器と(核実験などによる)グローバルヒバクシャが拡散した」と指摘した。
日本被団協が昨年にノーベル平和賞を受賞したことについて「被爆者の声に耳を傾けようという世界への発信であり、(各国の)危機感の薄さへの警鐘だ」とも強調した。
「私たちは、人類が核兵器と共存できないことを命ある限り訴え続ける」と述べ、核保有国の首脳らに被爆者との対話を要求。「核兵器を持つ国のリーダーのみなさん、こちらを振り向いて下さい」と呼びかけた。
田中さんは1歳の時に広島で入市被爆し、家族や親類を亡くした。昨年12月のノルウェー・オスロでの平和賞の授賞式にも出席し、今年5月にはフランスで被爆体験を証言している。
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