米エネルギー省のライト長官=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】トランプ米政権は2日までに、脱炭素関連のプロジェクト223件を対象とする75億6千万ドル(約1兆1千億円)の資金供与を中止すると発表した。政権は具体的な中止案件を公表していないものの、米メディアによると大半は民主党が優勢な州での案件だと報じている。

エネルギー省のライト長官は1日「手ごろで信頼できるエネルギーを拡大するためだ」と中止について声明を出した。資金供与を中止する223件は、経済的に実行可能ではなく、投資収益が見込めないという。同省から具体的な対象プロジェクトの開示はなかった。

一方、米紙ニューヨーク・タイムズなどは2日、223件の大半は民主党が優勢な州のプロジェクトだったと報じた。再生可能エネルギー関連やエネルギー効率化の案件などが対象となった。

水素活用を後押しする「水素ハブ」構想は全米で進むものの対応が分かれた。民主党が優勢なカリフォルニア州とワシントン州、オレゴン州にまたがる北西部向けのプロジェクトは資金供与の中止対象となったようだ。一方で共和党が優勢なテキサス州やルイジアナ州などで進む水素ハブは対象外とみている。

米行政管理予算局(OMB)のボート局長は1日、X(旧ツイッター)に「左派の気候変動をあおる『グリーン・ニュー・スキャム(詐欺)』への80億ドル近い資金提供が中止される」と投稿していた。その上で対象プロジェクトの所在地として、カリフォルニア州やニューヨーク州など16の民主党州を挙げていた。

民主党上院トップのシューマー院内総務は「民主党支持の州を標的にしているだけでなく、すでに進行中のプロジェクトを台無しにして、何千もの米国の雇用を削減しようとしている」と批判した。

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