米住宅の建設現場=ロイター

【ニューヨーク=佐藤璃子】米商務省が19日発表した7月の住宅着工件数は142万8000戸(季節調整済み、年率換算)で、2月以来、5カ月ぶりの高水準となった。ダウ・ジョーンズ通信まとめの市場予想(129万件)を上回った。先行指標の許可件数は低調が続き、依然住宅市場の先行きが不透明である様子を映した。

着工件数は前月比5.2%、前年同月比12.9%増加した。集合住宅の着工は47万戸と前月から11.6%増え、2023年5月以来、2年2カ月ぶりの高水準を記録した。戸建ては前月比2.8%増加した。

一方で着工件数の先行指標とされる許可件数は減少した。全米の許可件数は前月比2.8%減の135万4000戸だった。市場予想(139万件)も下回った。

調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのシニア米国エコノミスト、オリバー・アレン氏は、変動の大きい着工件数よりも許可件数の方が市場動向の把握に向いていると指摘。その上で7月の着工増加は「一時的な変動にすぎず、新築市場の回復の兆候を示すものではない可能性がある」と説明する。

全米住宅建設業協会(NAHB)が18日発表した8月の住宅市場指数は32と、前月から1ポイント下落した。住宅ローン金利の高止まりが、引き続き新築市場回復の重荷となっている。

【関連記事】

  • ・米経済、3%高成長に幕 不況回避も消費・投資は二極化進む
  • ・6月の米戸建て着工5%減、1年ぶり低水準 金利高止まりで

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。