
【ニューヨーク=吉田圭織】米中の経済対立が深まるなか、主要産油国であるカナダの中国向け原油輸出が急増している。米ブルームバーグ通信によれば、2025年10月に入ってから500万バレル近くがカナダ西海岸バンクーバー港から中国向けに出荷され、15日間ベースで過去最高となった。月間でも最高を記録する可能性が高い。
ブルームバーグが入手した英調査会社ボルテクサのデータによれば、バンクーバー港から出港した原油タンカーのうち7割が中国向けだった。残り3割は大型タンカーが寄港し、他地域への振り替え輸送の経由地となることが多い米西海岸のロサンゼルス付近に向かったか、目的地の記載がなかった。
米中対立を受け、中国による米国産の原油購入は減っている。10日には米国が中国企業が保有・操業する船を対象に入港手数料の徴収を始めると発表した。その対抗措置として中国も米国の船が中国に寄港する際に追加の使用料を徴収すると発表している。
中国の買い手は足元で調達先を広げており、外国産原油の買いだめを加速している動きもカナダ産原油の購入拡大の背景にある。米国がロシアとイランへの経済的な圧力を強めるなか、中国は割安となっている両国の原油購入を増やしている。
米銀大手ゴールドマン・サックスは中国による原油買いだめの動きは今後1年は続くと予想しており、毎日50万バレル以上のペースで備蓄量を増やす見通しだとみている。ロイター通信の調査によれば、こうした買いだめを支え続けるために中国は25〜26年に新たに11カ所の石油備蓄基地を追加する見通しだ。
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