予算案審議の演説のため仏議会に入るルコルニュ首相(24日、パリ)=ロイター

【エディンバラ=北松円香】米格付け大手ムーディーズ・レーティングスは24日、フランス国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。内政混乱により財政再建が難航するリスクが高まっているとの見方を示した。格付け自体は「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」を維持した。

仏国債を巡っては、フィッチ・レーティングスが9月、格付けをシングルA格に引き下げていた。大手3社の格付けがシングルA格まで下がるのは確認可能な1980〜90年代以来初めてだった。その後、S&Pグローバル・レーティングもシングルA格に引き下げ、残るムーディーズの判断が注目されていた。

国民議会(下院)は2024年の選挙の結果、どの党も過半の議席を持たない「ハングパーラメント(宙づり議会)」となり、合意形成が極めて難しくなっている。ルコルニュ首相は内閣不信任決議を避けるため、受給開始年齢を引き上げる年金改革の凍結など野党の要求受け入れを余儀なくされた。新型コロナウイルス禍対応などの歳出増加で悪化した財政の再建ペースは従来想定より遅れる見通しだ。

ムーディーズは年金改革の凍結について、長期化すれば「労働力供給の低下により、潜在成長率を押し下げる」と指摘した。

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