トランプ大統領
トランプ氏の「勘違い」説すらあるが、日本の市民団体側は「勘違いだとしてもインパクトはあまりにも大きい」と批判している。(福岡範行)◆核爆発を伴う実験は1992年以降停止
怒りはあらわだった。 「核実験と軽々しく発言している」「核軍縮に逆行することをカジュアルに発信した」 一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」が10月31日、オンラインで開いた緊急記者会見で、厳しい言葉が相次いだ。 トランプ氏は30日のSNS投稿で、ロシアと中国の核戦力の増強に触れながら、「核兵器実験」の開始を指示したと表明した。
トランプ氏が「核兵器の実験開始」の指示を明かしたSNSの投稿(スクリーンショット)
米国は1992年以降、爆発を伴う核実験を停止する一方、臨界前実験はバイデン政権下の2024年5月にも実施。トランプ氏の表明は核爆発を伴う実験に踏み切るようにも読める。◆核実験の管轄は国防総省じゃないのに
緊急会見で、日本反核法律家協会の大久保賢一会長は「使わない兵器のために実験することはあり得ない。全人類に惨害をもたらすと承知の上で言っているのか」と語気を強めた。 NPO法人「ANT-Hiroshima」の渡部朋子理事長は「中国やロシアに核実験の格好の口実を与えてしまう」と懸念。 NGO「ピースボート」の川崎哲共同代表は、核保有国の多くが核実験を控えてきたとし「軽はずみなツイート(投稿)で、(その国際規範が)音を立てて崩れる」と訴えた。
オンライン会見で、トランプ大統領の「核実験指示」の投稿への懸念を語る川崎哲氏(スクリーンショット)
トランプ氏の投稿は、直訳すれば「私たちの核兵器の実験を始めることを指示」したという内容だ。 ただ、前後に不自然な記述も。まず、指示した先が「戦争省」(国防総省)と書かれた点だ。米国の外交・安全保障専門誌の東...残り 774/1547 文字
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