
【ワシントン=芦塚智子】米西部カリフォルニア州で4日、連邦議会下院の選挙区割り変更の是非を問う住民投票があり、賛成多数で承認される見通しとなった。米メディアが伝えた。2026年の中間選挙で民主党にとって優勢な選挙区が5つ増えることになる。
住民投票を主導した民主党のニューサム同州知事にとって追い風となる。
接戦が予想される中間選挙をにらみ、トランプ米大統領の指示を受けた南部テキサスなど共和党地盤の各州が自党に有利な選挙区割り変更を進めている。ニューサム氏はこれに対抗するために住民投票を実施した。
ニューサム氏は結果を受けて「トランプは歴史的に最も不人気な大統領だ」と述べ、そのために「中間選挙を不正に操作しようとしている」と主張した。民主党地盤の他州にも区割り変更で対抗するよう呼びかけた。
ニューサム氏は28年の大統領選への出馬に意欲を示している。トランプ氏が仕掛けた区割り変更に立ち向かう動きを先導し、民主党内での基盤を強めたいとの思惑がある。住民投票では民主党内で根強い人気があるオバマ元大統領の支援も取り付けた。
トランプ氏は4日、SNSへの投稿でカリフォルニア州の選挙区割り変更を「憲法違反」「巨大な詐欺」と批判した。住民投票が不正に操作されていると主張し「非常に深刻な法的かつ犯罪に関する調査の対象になっている」と指摘した。誰が調査しているかなどの詳細は明らかにしなかった。
カリフォルニア州では本来、超党派の独立委員会が区割りの権限を持つ。住民投票の結果、民主党が過半数の州議会が定めた新たな区割りを30年まで使用し、31年以降は再び独立委員会が国勢調査を元に区割りを実施する。
下院選挙区の区割りは通常、10年ごとの国勢調査を受けて更新する。今年は本来なら変更時期ではないが、中間選挙で共和党が多数派を死守するため、トランプ氏が共和党地盤の各州に区割りを変更するよう圧力をかけた。
これを受けて南部テキサス州が区割り変更で共和党優勢の選挙区を5つ増やした。中西部ミズーリ州、南部ノースカロライナ州でも共和党優勢区をそれぞれ1つずつ増やす区割り案が成立した。中西部インディアナ州なども変更を検討している。
民主党側は東部バージニア州で変更の手続きを開始したほか、東部メリーランド、ニューヨークなどでも対抗する構えを示す。
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