
【ニューヨーク=竹内弘文】米財務省は5日発表した2025年11月〜26年1月の国債発行計画で、物価連動国債を除く全ての年限の国債発行額を前の四半期(8〜10月)から据え置き、数四半期は発行規模を維持する見通しも堅持した。一方、声明文では「将来的な入札規模の拡大について予備的な検討を開始した」とも説明した。
11月10〜13日に実施する3年債、10年債、30年債の入札では計1250億ドル(約19兆2500億円)を発行する。月次の固定利付国債(2〜30年債)と変動利付国債の発行予定額は11月が3520億ドル、12月が3430億ドル、26年1月が3450億ドル。前の四半期と同額とし、発行額据え置きを想定していた大方の市場参加者の見方と一致した。
トランプ米政権が重視する長期金利の安定を図るため、発行規模の維持を通じて長期債の需給が緩んで国債利回りが急上昇(債券価格が急落)する事態を防ぐ狙いだ。財政赤字を埋めるため、償還までの期間が1年未満の米財務省短期証券(Tビル)への依存が強まる。声明文は「26年1月半ばまでにTビル入札規模拡大を予想している」と記した。
ただ、短期債の増発頼みには限界もある。7月に成立した大型の減税・歳出法(OBBB法)で米財政への負荷は高まっている。今回、長期債の増発検討を始めたと周知したのは将来の増発実現に向けた地ならしの側面が大きいとみられる。
5日の米債券市場では長期債の利回りが上昇した。10年債利回りは一時前日比0.08%高い4.16%近辺まで上昇した。雇用関連の民間統計が市場予想を上回る内容となった影響が大きいもようだが、将来の米国債需給への懸念も金利上昇の一因となった可能性がある。
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