
【ニューヨーク=秋田咲】7日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は前日比74ドル高の4万6987ドルで取引を終えた。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は週間で3%下落し、4月上旬の関税ショック時(10%安)以来の下げ率となった。人工知能(AI)への過剰投資不安からテック株売りが広がる。米国以外の株式市場にも波及している。
大型テックの中でもハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の下落が目立つ。マイクロソフトとメタは前週末比4%安、オラクルは8%安だった。AI向けクラウドサービスのコアウィーブは2割も下げた。
25年7〜9月期決算で相次いだ設備投資の拡大への不安が主因だ。メタの7〜9月期の設備投資は日本円で約3兆円と前年同期比で倍増した。通期の投資額の見通しも上方修正した。あまりの投資拡大ぶりに利益回収への懸念が高まった。
3四半期連続で最高益を更新したマイクロソフトも上方修正した26年6月期通期の設備投資計画が重荷になっている。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのチャーリー・マケリゴット氏は「大型テック株には極端な期待が寄せられていた。投資家の買いポジションの行き過ぎにつながっていた」と指摘した。
金融業界の大物からもテック株の高いバリュエーションに警告が相次ぐ。英イングランド銀行(BOE、中央銀行)のベイリー総裁は6日、AIに関連して「市場でバブルが発生する可能性が高い」との見解を示した。
5日にはゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)が「(株式相場は)10〜20%下落する可能性が高い」と話したほか、モルガン・スタンレーのCEOも同様に言及した。
米国のテック株下落が引き金となり、海外市場にもリスクオフムードが波及した。日経平均株価は週間で4%下げた。軟調な米雇用市場の動向などを受けて日本でも主力のハイテク銘柄を売る動きが出た。
ドイツの主要株価指数、ドイツ株価指数(DAX)は週間で2%下がった。欧州資産運用大手LGTは「AIやテクノロジー関連株の割高なバリュエーションへの懸念が強い。ウォール街の下落が世界の株式市場全体に広がった」と指摘した。
国際金融協会(IIF)によるとAI関連の設備投資は2025年上半期の米国の実質国内総生産(GDP)成長の9割を占める。IIFは「成長がどこから生じているのかという重要な詳細は覆い隠されている。持続的な生産性向上の始まりなのかは依然不明なままだ」と慎重な見方を崩していない。
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