
【ヒューストン=大平祐嗣】米ボーイングは7日、米南部サウスカロライナ州の工場で拡張工事を始めたと発表した。日本企業が部品製造の35%を担う主力中型機「787」の工場で新たに10億ドル(約1500億円)超を投じる。787の受注残が積み上がるなか、工場を拡張し需要に応える。
拡張工事により約11万平方メートルに及ぶ現在の最終組み立て建屋と同規模の建屋を建てるほか生産支援施設やオフィスなどを設ける。工場の拡大で今後5年間で1000人を新規雇用する。拡張計画は2024年12月に発表していた。
787は「ドリームライナー」の愛称で知られ、燃費効率が高く中型機としては航続距離が長い。日本企業が機体部品の35%の製造を担うことでも知られている。主翼は三菱重工業、前胴体部は川崎重工業、中央翼はSUBARUが製造している。
ボーイングによると、787の受注残は足元では約1000機に及び、今年だけで300機の受注があった。今後も中型機の需要は底堅いという。
ただボーイングは主力小型機「737MAX」で度重なった重大事故により経営再建の途上だ。足元では13四半期連続の赤字決算が続く。過去には787でも品質検査の不備が指摘されたこともある。生産拡大と両立して品質を担保する生産ラインの立ち上げが求められる。
787を巡っては6月にはインド西部で同機種では初めての墜落事故も起きた。事故原因は調査が続いている。
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