ニューヨーク州北部のコーネル大キャンパス=AP

【ニューヨーク=西邨紘子】米コーネル大学は7日、助成金の支払い再開でトランプ米政権と和解したと発表した。「解決金」として総額6000万ドル(約92億円)を支払うほか、学生のデータや外国からの資金提供についての報告義務を受け入れた。

コーネル大学は米東海岸の名門アイビーリーグの1校。キャンパスでユダヤ系学生への嫌がらせなどを放置し公民権法に違反したとして、トランプ政権が4月、約2億5000万ドルの研究助成金の支払いを差し止めていた。同大は6月、資金減に対応するため、全面的な歳出見直しや人員削減を進めると表明していた。

合意によると、コーネル大はトランプ政権に3000万ドル、農業分野の効率化技術などの研究に3000万ドルをそれぞれ3年かけて支払う。コーネル大は傘下に農学部を持ち、農業関連技術の研究で知られる。

また、同大は4半期ごとに人種や評価、テスト成績など学部別に匿名化された詳細な学生のデータを米政府に報告する。公民権法への違反は認めない。トランプ政権は同大を対象とした複数の調査を打ち切り、差し止めていた助成金の支払いを再開する。

トランプ政権は「リベラル偏向」と見なす米大学に対し、助成金の差し止めなどで圧力をかけ、反DEI(多様性、公平性、包摂性)政策の受け入れなどを求めてきた。アイビーリーグ校ではこれまでにコロンビア大が2億2000万ドル、ブラウン大が5000万ドルの支払いで政権と和解した。このほかにも、ハーバード大など複数の大学が交渉を進めているもようだ。

大学のトランプ政権との和解については、キャンパスへの政権の監視を強め、強いては言論や学問の自由を脅かし兼ねないとの批判もある。

コーネル大のコトリコフ学長は学校関係者に向けた文書で、トランプ政権との合意の内容が「(コーネル)大学が政府の介入や承認を介さず、方針や手続き、採用・入学者の決定や授業内容を決める権利を明確に認めている」と説明し、理解を求めた。また「連邦政府との実りあるパートナーシップの再開に期待している」と表明した。

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