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【ヒューストン=大平祐嗣】米製薬大手ファイザーは肥満症治療薬を開発する米新興企業のメッツェラを最大100億ドル(約1兆5000億円)で買収することで合意した。メッツェラが7日発表した。メッツェラにはデンマークのノボノルディスクも買収提案しており、市場が成長する肥満症薬を巡り米欧で買収合戦となっていた。

メッツェラによると、同社はファイザーが修正した買収案が価格と取引成立の両方の観点から最良の取引だと判断した。ノボによる買収提案について、米連邦取引委員会(FTC)から米独占禁止法に基づくリスクについて照会があったという。

ファイザーは9月、メッツェラを最大73億ドルで買収することで合意していた。これに対し、肥満症薬で先行するノボは10月30日に最大85億ドルで対抗する買収提案を出した。ノボは4日にも買収金額を最大100億ドルに引き上げていたが、今回のファイザーの修正案は1株あたりの買収でノボを5セント上回る。

肥満症薬を巡っては、ノボが米国市場で先行し、米イーライ・リリーと2社でシェアを分け合っている。ファイザーは肥満症薬の開発に遅れており、技術を持つ新興企業を取り込む。

ファイザーは3日、ノボとメッツェラなどを独占禁止法違反に当たるとして米東部デラウェア州の連邦地方裁判所に提訴していた。

米ゴールドマン・サックスによると、世界の肥満症薬の市場規模は2030年までに950億ドルに拡大する。成長市場をめぐり製薬会社の競争が激しくなっている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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