エプスタイン氏(パネルの左)とトランプ氏(同右)の写真を掲げる米民主党議員(2024年1月)=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米下院監視・説明責任委員会の民主党委員らは12日、少女買春などの罪で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏が腹心の女性や知人とやり取りした電子メールの内容を公開した。エプスタイン氏はトランプ大統領が「少女たちについて知っていた」と主張するなど、トランプ氏に何度も言及していた。

トランプ氏はエプスタイン氏と交友関係があったことは認めているが、エプスタイン氏が起訴される前に関係を絶ったと説明している。メールを公開した民主のガルシア議員は声明で「これらの電子メールややり取りは、ホワイトハウスが他に何を隠しているのか、またエプスタイン氏と大統領の関係の本質について重大な疑問を提起している」と指摘した。

公開したメールのやり取りは3組。2011年4月にエプスタイン氏が元交際相手で共犯に問われたギレーヌ・マクスウェル受刑者に送ったメールの中で、被害者の1人が同氏の家でトランプ氏と「何時間も過ごした」と記している。

19年1月にジャーナリストのマイケル・ウルフ氏に宛てたメールでは、「もちろん彼(トランプ氏)は少女たちについて知っていた。ギレーヌにやめるよう求めていた」と書いていた。

15年12月のウルフ氏とのやり取りでは、トランプ氏がCNNにエプスタイン氏との関係について質問された場合に備え、トランプ氏に回答の仕方を提案する可能性について相談していた。

トランプ氏はSNSで「民主党は政府閉鎖やその他の多くの問題でのひどい出来から関心をそらそうと躍起なため、エプスタインのでっち上げを再び持ち出そうとしている」と批判した。

レビット大統領報道官は12日の記者会見で「これらの電子メールは、トランプ大統領は何も悪いことはしていないという事実以外は何も全く証明していない」と述べた。メールで言及されている被害者自身が、トランプ氏による不適切な行為を見たことはなく親切だったと語っていたと指摘した。

エプスタイン氏は19年7月に起訴され、公判の開始前に拘置所で自殺した。政財界に幅広い人脈を持ち、トランプ氏のほかクリントン元大統領、英国のチャールズ国王の弟アンドルー氏らと交友関係があった。少女買春の「顧客リスト」を保有し、口封じのために殺害されたとの陰謀論が根強い。

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