投票したスダニ・イラク首相(11日、バグダッド)=AP

【バグダッド=共同】ロイター通信は12日、11日投票のイラク国会(定数329)選でスダニ首相の勢力が首位になったと報じた。隣国のイスラム教シーア派大国イランと米国の間で「バランス外交」を訴えるスダニ氏が一定の支持を集めた。今後は次期政権樹立に向けた各勢力間での協議が焦点となりそうだ。

イラクメディアによると、スダニ氏は演説で新政権の樹立を目指す考えを示した。選挙当局によると、投票率は約56%だった。政治不信から投票率が伸び悩むとの見方が出ていた。慣例で首相はシーア派、国会議長はイスラム教スンニ派、大統領はクルド人と主要ポストを分け合う。

2003年に始まったイラク戦争後に悪化した治安は回復傾向にある。選挙ではスダニ氏やマリキ元首相の各勢力など人口の約6割を占めるシーア派中心の勢力が主導権を争った。シーア派指導者サドル師派はボイコットした。国会議長を務めたハルブシ氏のスンニ派勢力やクルド民主党も支持を集めたもようだ。

中東では23年10月に始まったパレスチナ自治区ガザの戦闘が波及する形でイスラエルとイランが交戦し、親イラン民兵組織ヒズボラが拠点を置くレバノンでもイスラエル軍の攻撃で大きな被害があった。イラクも親イラン勢力を抱えるが、これまで壊滅的被害は出ていない。こうした情勢がスダニ氏の勢力への投票につながった可能性がある。

【関連記事】

  • ・イラク総選挙、米国・イラン対立が影 石油産業は復活の兆し
  • ・米制裁のロシア石油大手、イラクが支払い停止か 東欧では国有化案も
  • ・「悪役」引き受けた愛国者 故・チェイニー元米副大統領、対テロ戦に功罪

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。