ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した鈴木隆氏

中国共産党が10月下旬に開いた第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、多くの軍高官が汚職などを理由に党籍剝奪といった厳しい処分を受けました。習近平(シー・ジンピン)国家主席に近い幹部も複数含まれていたため、習氏の権力基盤が揺らいでいるのではないかとの見方も浮上しています。

「習近平研究 支配体制と指導者の実像」の著書で知られる大東文化大学の鈴木隆教授は、ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し「習氏の権力が低下しているとは思っていない」と明言しました。むしろ、習氏が軍を掌握しているからこそできる人事だ、というのが鈴木氏の見方です。

中国共産党、そして習氏の悲願が台湾統一であることは論をまちません。それを実現するには、強い軍隊をつくる必要があります。問題は人です。いくら最新鋭の装備で固めても、軍という組織が腐っていては戦争に勝てない。習氏がそう考えていてもおかしくありません。

鈴木氏は習氏が「情実人事や賄賂で出世してきたような能力不足の軍人がたくさんいる」と判断し、自分がかわいがってきた部下でも能力に問題があればためらいなくクビにしているとみています。すべては台湾統一をにらみ、人民解放軍を強くするためだというわけです。

中国が台湾に軍事行動を起こすとすれば、そのリスクが高まるのはいつごろでしょうか。鈴木氏は「2028年1月の台湾総統選挙でどういう人物が総統に選ばれるか」が大きな分岐点になると考えています。独立志向が強い人物が台湾のリーダーになれば、習氏が軍事的な手段に打って出る可能性は排除できないでしょう。中台の緊張が高まるのはまちがいありません。

鈴木氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。

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(編集委員 高橋哲史)

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