
中国が高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会での答弁に猛反発し、日本への威圧を強めています。自国民に日本への渡航を控えるよう呼びかけたのに続き、19日には日本産水産物の輸入を事実上、停止しました。中国の習近平(シー・ジンピン)政権が日本側の説明に耳を傾ける気配はなく、対立の長期化を懸念する声も出ています。
中国はなぜ、日本にこれほどまで強硬な姿勢を取るのでしょうか。台湾問題では絶対に譲れないという面が大きいにしても、それだけとは思えません。
東京女子大学特別客員教授で、中国の政治・外交を専門とする高原明生氏はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し「中国では国内の経済に不満を持っている人が多い。日本をその怒りをぶつける対象にしている面もある」との考えを示しました。
中国経済は深刻な不動産不況を背景に、厳しい状況が続いています。失業率も高いままで、人びとの不満の矛先が習政権に向かってもおかしくありません。それを避けるために、中国側は中台が不可分であるとする「一つの中国」原則を日本が踏みにじったという誤った宣伝を繰り広げ、対立をあおっている。高原氏はその可能性を否定できないとみています。
経済の苦境を考えれば、習政権も本音では日本との関係をこれ以上、悪くするのは得策でないと考えているかもしれません。「中国はなるべく早く自分たちに有利な形で矛を収められればいいと考えている」というのが高原氏の見方です。
日本はそんな中国とどう向き合えばいいのでしょうか。高原氏は「中国の挑発に乗らず、つけいる隙を与えず、堂々とやっていくことがいちばん大事だ」と指摘しています。高原氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。
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(編集委員 高橋哲史)
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