
【ヒューストン=大平祐嗣】米政府は10日、ビザ(査証)なしで観光に訪れる外国人に最大5年分のSNS履歴の提出を義務付ける規制案を公表した。対象国は数十カ国に上り、欧州諸国や日本も含んでいる。トランプ政権が強める外国人の審査や国境警備の動きが一段と強まる。多数の観光客やビジネス客の短期出張に影響が及びそうだ。
米税関・国境取締局(CBP)が連邦官報で新たな規制案を明らかにした。日本人を含む外国人観光客が利用する「電子渡航認証システム(ESTA)」の申請時に、SNSの情報開示を必須項目として求める。具体的にどのような情報を求めるのかについては詳細を示していない。
SNS履歴に加えて電話番号とメールアドレス、生体認証データ、家族についての詳細情報の提出も求められる可能性がある。一連の内容については60日間のパブリックコメント期間を設け、各業界から広く意見を募る。
ESTAは現在、ビザ免除プログラムとして対象国の外国人旅行客や出張者が広く使っている。費用は40ドル(約6000円)で、1回あたり最大90日の連続滞在が可能だ。通常は2年間の期限内なら、米国には複数回にわたって入れる。
トランプ政権は6月には、学生ビザの申請でSNSアカウントの審査を厳格化すると発表していた。SNS投稿の中身を確認するため、申請者には誰でも閲覧可能な設定にするよう求めている。
トランプ大統領は米国の脅威を特定するために、あらゆる情報を活用するとしていた。1月の就任初日には、入国を考える外国人に最大限の審査を実施するとの大統領令に署名していた。
米国は2026年にカナダとメキシコと合同でワールドカップ(W杯)を開く。28年にはロサンゼルス五輪も予定しており、多数の外国人観光客の流入が見込まれている。
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