ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した江藤名保子氏

米国とイスラエルによるイラン攻撃の出口がみえません。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界経済の混乱が続くなか、トランプ米大統領は3月末から予定していた訪中の延期を中国側に要請しました。米中関係の先行きに不透明感が漂っています。

東アジアの国際政治や日中関係を専門とする江藤名保子・学習院大教授はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し、トランプ氏が訪中の延期を決めたのは「イランへの武力攻撃が思っていたようには全く進んでいない表れ」との見方を示しました。

秋に中間選挙を控えるトランプ氏は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との直談判で米国産大豆の輸出拡大といった成果を勝ち取ろうとしていたはずです。イラン攻撃が想定より難航し、その機会を先延ばしせざるを得なくなりました。

江藤氏は「トランプ氏はいままで対中戦略が長期的にいちばん大事だと思っていたのを、より短期的な、重要性の高まった問題に取り組みたいと考えるようになった」と分析しています。対中政策の優先順位が下がったというわけです。

一方、中国側はトランプ氏の訪中延期をどうみているのでしょうか。米国内の対中認識が厳しさを増すなか、習政権としてはトランプ氏個人とのパイプを太くし、米中関係を安定させようとしていたのはまちがいありません。その意味で、トランプ氏の訪中延期は中国にとっても痛手です。

しかし、いまトランプ氏が訪中すれば、ペルシャ湾への艦船派遣など中国側が望まない要求を突きつけられたかもしれません。江藤氏は「中国はトランプ訪中が延期になって状況がよりよくなるのであれば、その方が望ましいと思う部分もある」とみています。

問題はトランプ氏が言うように、訪中の延期が「1カ月ほど」で済むかどうかです。イラン情勢は泥沼化するおそれも否定できません。江藤氏は今後の状況次第で、トランプ氏の訪中が白紙になる可能性も「ゼロではない」との見通しを示しました。

江藤氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。

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(編集委員 高橋哲史)

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