【NQNニューヨーク=横内理恵】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、終値は前日比443ドル96セント(0.96%)安の4万5577ドル47セントだった。2025年10月以来の安値。米軍がイランに対する軍事攻撃を拡大する可能性が意識され、週末を前に投資家のリスク回避姿勢が強まった。

中東を巡って週末の間に事態が大きく動く可能性が意識された。ダウ平均の下げ幅は午後に650ドルを超える場面があった。2月に付けた過去最高値(5万0188ドル)からの下落率は9%を超えた。

トランプ米大統領は19日の記者会見で「中東に部隊を追加派遣することはないが、するとしても言わないだろう」と述べていた。米CBSは20日午後に、米国防総省が地上軍の投入に向けて準備をしていると報じた。米国防総省が追加で戦艦と部隊を中東に派遣しているとも伝わった。

エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の輸送正常化にも時間がかかるとの見方がある。イスラエルがイランの原油・ガス施設への攻撃を自重する姿勢を示す一方、イランは湾岸諸国のエネルギーインフラへの攻撃を続けている。20日にはイラクが海外資本の油田に関して供給責任を免れるフォースマジュール(不可抗力宣言)を出したと伝わった。

米原油先物市場では期近4月物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は通常取引を前日比2%超高い1バレル98ドル台で終えた後、99ドル台後半に上昇する場面があった。

インフレ懸念が強まるなか、米利下げ観測の後退も米国株の売りを誘った。米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は20日の米CNBC番組で原油相場が高止まりしてエネルギー・食品を除くコア物価に波及する可能性があると指摘した。利上げの可能性は排除しつつも、「慎重になる必要がある」との認識を示した。

「中東の混乱が景気や企業業績を下押ししたとしても、利下げによる経済や株価の下支えが見込めなくなった」(シーミス・トレーディングのジョゼフ・サルッジ氏)との声があった。

20日の米債券市場では米長期金利の指標である10年債利回りが前日比0.14%高い(価格は安い)4.39%と、昨年8月以来の高水準を付ける場面があった。欧州中央銀行(ECB)など欧州中銀が利上げに動くとの観測もあり、世界的に金利の先高観が強まっている。

ダウ平均の構成銘柄ではボーイングやハネウェル・インターナショナル、エヌビディアのが下げが目立った。シャーウィン・ウィリアムズやキャタピラーも安かった。一方、ベライゾン・コミュニケーションズやシェブロン、ビザが上げた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落し、終値は前日比443.080ポイント(2.00%)安の2万1647.611(速報値)だった。テスラやメタプラットフォームズ、マイクロン・テクノロジーなどの下げが目立った。

サーバーなどを手掛けるスーパー・マイクロ・コンピューターは3割下げた。エヌビディアの半導体を搭載したサーバーを中国に不正輸出したとして同社の共同創業者らが起訴されたことが19日に分かり、経営への影響が懸念された。一方、サーバーなどで競合するデル・テクノロジーズは上げた。

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