米ロ首脳会談 停戦に向け進展見いだせるか
ゼレンスキー大統領が英首相と会談 欧州各国と結束強化
ウクライナの人たちは
アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は、日本時間の16日、ウクライナ侵攻が始まって以降初めてとなる対面での首脳会談を行います。トランプ大統領は14日、会談の結果次第で、ウクライナのゼレンスキー大統領も交えた2回目の会談を行いたいと強調し停戦に向けて一定の進展を見いだせるかが焦点となります。トランプ大統領とプーチン大統領の首脳会談は15日、アメリカ・アラスカ州の最大都市アンカレジにあるアメリカ軍の基地で行われる予定です。対面での米ロ首脳会談はおよそ3年半にわたるロシアによるウクライナ侵攻後、初めてで、ロシア側によりますと現地時間の15日午前11時半ごろ、日本時間の16日午前4時半ごろから行われます。そして、2人だけで通訳を介して会談した後に、両国の代表団も加わるとしていて、終了後には共同会見も予定されているということです。会談に先立つ14日、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「よい会談になると思うが、より重要なのは2回目だ。プーチン大統領、ゼレンスキー大統領、もしかしたら、ヨーロッパの首脳も加わる会談を行うことになるかもしれない」と述べました。その上で、「今回、成し遂げたいのは次の会談をセットすることだ。うまくいかなければ、会談はすぐに終わるだろうし、うまくいけば、近い将来に平和を手にすることになるだろう」とも述べ、ウクライナも交えた次の会談をすみやかに行いたいと強調し、そのような会談をアラスカで行う可能性にも言及しました。一方、ロシア側は、大統領府のウシャコフ補佐官が14日、「ウクライナ危機の解決が中心の議題になるだろうが、平和と安全の確保に関するより幅広い議論も行われるだろう」と述べた上で経済や貿易の分野も含めた2国間関係についても議論が行われるという認識を示しています。また、ロシア国営のタス通信は、大統領府のペスコフ報道官が、首脳会談を受けて成果文書を出すことは予定されていないと述べたと報じました。今回の会談では、まずは米ロの首脳が議論した上で、停戦に向けて一定の進展を見いだせるかが焦点となります。
アメリカとロシアの首脳会談を15日に控え、ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、イギリスを訪問し、スターマー首相とおよそ1時間、会談しました。会談のあと、ゼレンスキー大統領はSNSで「生産的で良い会談だった。アメリカがロシアに外交努力を迫ることに成功した場合、永続的な平和を実現できる安全の保証についても議論した」と述べました。また、イギリスの首相官邸によりますと両首脳は「ウクライナでの公正で持続的な平和を実現するために力強い結束と決意を確認した」ということで、米ロの首脳会談でプーチン大統領が和平に真剣な姿勢を示せば進展がありうるなどとしています。ゼレンスキー大統領は、前日の13日にはドイツを訪れ、欧米の首脳などとのオンライン会合に出席したあとの記者会見でウクライナの和平や領土などをめぐる交渉がウクライナ抜きで行われないよう強く訴えていました。ゼレンスキー大統領としては、ヨーロッパ各国との結束を強化することで、米ロの首脳会談の結果に速やかに対応するねらいがあるとみられます。
ウクライナ情勢を巡りアメリカとロシアの首脳会談が行われることについて、ウクライナの首都キーウで街の人たちに話を聞くと、8月で3年半に及ぶ侵攻の終結につながって欲しいと願う声が聞かれる一方で、懐疑的な声も聞かれました。このうち50代の男性は「過度に楽観的ではないが、期待は持っている。多くの人が愛する人を亡くし、人生を粉々にされた。みな疲れ、戦争が早く終わって欲しいと思っている」と話していました。また、ロシアが侵攻したヘルソン州から避難している50代の女性は「ウクライナ抜きに会談が行われることは誰も良いとは思っていないだろう」としながらも「交渉には期待を持ちたい。何かが起きれば、うれしい」と話していました。一方、50代の男性は「われわれの大統領が首脳会談に参加できないのは間違っている。ウクライナなしにウクライナについて何らかの合意がなされるのは外交的ではない」と話し、「これまでの会談や合意は何にもつながらなかったので、今回も特別なことは起きないだろう」と懐疑的な見方を示していました。
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