
【NQNニューヨーク=横内理恵】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前日比24ドル58セント(0.05%)安の4万5271ドル23セントで終えた。米経済や財政を取り巻く不透明感から景気敏感株などが売られた。
一方、グーグルの反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る裁判所の判決を受けて親会社のアルファベットが大幅上昇し、アップルも買われた。主力株の一角には引け間際に押し目買いが増えたとみられ、下げ渋って終えた。
ダウ平均は300ドルあまり下げる場面があった。3日発表の7月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が718万1000件と、6月(735万7000件)や市場予想(740万件前後)を下回った。同日発表のベージュブック(米地区連銀経済報告)では消費の陰りなどが報告された。
米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は同日の米CNBCのインタビューで9月の利下げ再開を支持するとともに、「労働市場が悪化する時は速い」と雇用の下振れリスクを改めて指摘した。
米財政悪化懸念や長期金利の先高観も投資家の慎重姿勢につながった。前週末に米連邦巡回区控訴裁判所がトランプ政権の相互関税などを憲法違反と判断した。最高裁でも同様の判断となれば、米政府が得る関税収入が縮小する。米財政赤字の拡大を招くうえ、関税と貿易政策を巡る不透明感が再び高まりかねない。3日の米債券市場ではJOLTS発表後に米国債利回りが低下したものの、未明には30年債利回りが節目の5%に達する場面があった。
ダウ平均の構成銘柄ではないがアルファベットは9%あまり上昇し、上場来高値を更新した。米連邦地方裁判所が2日、グーグルに対する独禁法違反の是正措置を発表した。米司法省が求めていたウェブ閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」の売却といった事業分割案を退けた。検索などでの独占的な契約は禁じられ、一部検索データの外部提供も求められたが、アルファベットのビジネスモデルを揺るがす内容ではなかったと受け止められた。
アップルは3.8%高で終えた。グーグルがスマートフォンの検索エンジンとしてクロームを標準搭載する際に対価を支払う契約を地裁が禁じなかった。アップルが収益源を維持できたことが好感された。
そのほかのダウ平均の構成銘柄ではシェブロンやボーイング、アメリカン・エキスプレス(アメックス)の下げが目立った。スリーエム(3M)やメルク、ハネウェル・インターナショナルも安い。一方、ウォルマートやセールスフォース、IBMなどが買われた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比218.097ポイント(1.02%)高の2万1497.727(速報値)で終えた。主要ハイテク銘柄ではテスラが上げた。
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