
【NQNニューヨーク=三輪恭久】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸して始まり、午前9時35分現在は前日比115ドル81セント高の4万5737ドル10セントで推移している。8月28日に付けた最高値(4万5636ドル)を上回った。その後は下げ、前日比300ドル超安の水準となっている。
同日朝発表の8月の米雇用統計は労働市場が一段と減速していることを示した。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを加速するとの観測の一方、景気悪化への懸念が強まった。
8月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月に比べ2万2000人増えた。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(7万5000人増)を下回った。過去分については7月が7万3000人増から7万9000人増に引き上げられた一方、6月が1万4000人増から1万3000人減に下方修正された。8月の失業率は4.3%と、前月の4.2%から上昇した。
市場ではFRBが9月に0.25%の利下げを決めるとの観測が根強いなか、一部には0.5%の利下げを決めるとの見方が浮上した。複数の会合にわたって連続利下げをする可能性も意識され、5日朝の米債券市場では幅広い年限の国債利回りが低下(国債価格は上昇)している。金利の低下で、相対的な割高感が薄れたとみられた株式に買いが入っている面がある。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のブロードコムが大幅に上昇している。前日夕に発表した2025年5〜7月期決算では売上高と、特別項目を除く1株利益が市場予想を上回った。人工知能(AI)向けの半導体で大規模な受注があったことも明らかにし、好感した買いが集まっている。
主力銘柄への買いが一巡した後、ダウ平均は小幅に下落する場面があった。米経済が市場の想定以上に冷え込んでいることへの警戒から、景気敏感株の一部に売りが出ている。
ダウ平均の構成銘柄ではホーム・デポやキャタピラー、セールスフォースが高い。一方、エヌビディアやシェブロン、ナイキは下落している。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は3日続伸して始まった。一時は2万1800台に乗せ、8月13日に付けた最高値(2万1713)を上回った。個別ではテスラが高い。取締役会がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の新しい報酬案を同日に示したことが材料視されている。
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