商品をPRする生徒たち=北九州市小倉北区で2025年8月30日午後2時半、橋本勝利撮影
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 福岡県立水産高校(福津市津屋崎)の生徒たちが、海藻を食べ尽くして磯焼けを招く磯魚「バリ(アイゴ)」を活用した「ぬか炊き」を開発した。北九州市小倉北区の旦過市場で限定販売したところ、試食した買い物客の評判も上々。漁業関係者の長年の課題解決にもつながるとして期待がかかる。

 水産高食品流通科の生徒たちが開発した。バリはトゲ状の背びれ部分に強い毒を持ち、独特の臭みがあり食材として敬遠されている。磯焼けを招き、津屋崎名産のイカの漁獲量が減るなど、地元漁業者を長年にわたり悩ませてきたという。

磯焼けの原因魚で知られる「バリ(アイゴ)」=福岡県立水産高校提供
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 そんな海の厄介者を活用した商品を開発できないかと、生徒たちは商品開発プロジェクトを発足させた。試行錯誤を繰り返すなか、バリの臭みを消すための方法として、北九州の郷土料理・ぬか炊きに着目。製造・販売を手がける「ふじた」(門司区)に共同開発を持ちかけた。

 ふじたの全面サポートのもと、2024年6月に開発に着手。10回ほどの試作を経て10月に「バリのぬかみそだき」を完成させ、商品化に至った。ぬか炊き特有の甘辛さは、ぬか床にキュウリのすりおろしを加えたことで、うまみ成分が増した。歯ごたえのある食感も特徴で、調和の取れた味わいに仕上がった。

新商品の「バリのぬかみそだき」=北九州市小倉北区で2025年8月30日午後1時35分、橋本勝利撮影
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 生徒たちは昨年、各地域で問題を抱えた「課題魚」を利用した商品のアイデアや味、地域貢献度を競う高校生の全国大会「ローカルフィッシュ缶グランプリ」にエントリー。最優秀賞を受賞して全国から応募のあった全66チームの頂点に立った。

 8月30日に旦過市場で開かれた初の販売イベントでは、生徒6人と、ふじたの社員らが「バリうまいぬか炊きが新発売です」などとPR。130グラム入りで、通常価格750円のところを、特別価格600円(いずれも税込み)で、冷凍と常温の2種を販売した。

 北九州市の武内和久市長も激励に駆け付け「バッチリぬか炊きになっていた。ちょうどいい感じ」と舌鼓。同校3年の高雄冠愛蘭(てぃあら)さん(17)は「(課題魚を)廃棄するだけでなく、商品化することで命の大切さも学べた。たくさんの人に買ってもらってうれしい」と笑顔を見せた。

 バリの漁獲量や学校での授業、研究との兼ね合いもあり、今後は継続的な販売に向けて検討を進めていくという。【橋本勝利】

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