さんが焼き(右)と照り焼き(左)の二つのバージョンがある勝浦ブルーバーガー=千葉県勝浦市で2025‎年‎9月‎11‎日午後3時26分、岩崎信道撮影

 海の“厄介者”を使ったフィッシュバーガーが生まれた。水揚げされても市場に出回らない未利用魚で、海のゆりかごといわれる藻場を荒らすブダイを材料にした「勝浦ブルーバーガー」。新しいメニューを開発した東急不動産などは「海洋環境保全と漁業者の収入源拡大につなげ、新たなご当地グルメにしたい」と意気込んでいる。

 10月1日から千葉県勝浦市松部の勝浦東急ゴルフコース内のレストランで、昼食メニューとして1日10食限定で提供する。さんが焼きと照り焼きの2種類のバージョンがあり、ポテトや飲み物付きで1650円(税込み)。房州の郷土料理をベースにしたさんが焼きバージョンはキャロットラペ(ニンジンのサラダ)をはさむなどして独特の風味がある。ソースの利いた照り焼きバージョンは魚肉とは思えない香ばしさが表現されている。

10月1日から勝浦東急ゴルフコースで提供が始まる勝浦ブルーバーガー(手前の二つ)=千葉県勝浦市で2025‎年‎9月‎11‎日午後3時45分、岩崎信道撮影

 東急不動産とゴルフコースを運営する東急リゾーツ&ステイは、市や新勝浦市漁業協同組合などと市藻場保全対策協議会を組織し、海洋環境調査などに取り組んでいる。東急不動産によると、2018年ごろから勝浦の海は魚や貝類を育む藻場が減少する磯焼けが深刻化。海水温の上昇と、それに伴うブダイやアイゴ、イスズミなど海藻を食べる魚が増えたことが原因という。

 藻場を荒らす魚を捕獲し活用を検討するなかで、バーガーにたどり着いた。タカノハダイなど5種類の魚で試作を重ねた結果、比較的量が確保しやすいブダイを材料に選んだ。同漁協の渡辺弘則さんによると、ブダイはうろこが硬く調理しにくいものの、かつては市場に出回っていたことがあったという。海の色にちなんで「ブルーバーガー」と名付けた。

 東急不動産リゾート事業グループの青島一樹課長補佐は「食を通じて勝浦の藻場保全活動に貢献し、未利用魚の付加価値を上げることで漁業者を支えたい」と話す。今後は勝浦の新たな名物料理として定着させ、地元飲食店などが独自の味付けでメニューに加えるよう広めていきたいという。【岩崎信道】

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