
静岡県掛川市立の全21小学校で2026年度から1~3年生の通知表が廃止されることになった。市教育委員会は「子供の成長や可能性を引き出すため、通知表作成にかける時間を、教員と保護者・子供が話し合う三者面談に充てた方がよいと判断した」と説明している。市教委によると、県内の自治体で公立小学校の通知表が廃止されるのは初めて。
通知表の廃止に伴い、市教委はこれまで教員と保護者で行ってきた話し合い(二者面談)を、子供も交えることで、学習目標などをより自覚できる形に変えていくという。市教委は「通知表で得られる情報はごく一部でしかない。面談によって言葉で伝えることが最大のメリット」としている。三者面談は、学期末(18小学校が2学期制、3小学校は3学期制)に行う。
同市では国語や算数など主要5教科で、ドリルの点数などを基にAI(人工知能)を活用した学習支援アプリを使い、子供の学習習熟度などを分析している。10月以降は、それらのデータを保護者や子供も共有できるようシステムを変え、三者面談でも活用予定だ。
市教委は、校長や教員計6人による検討委員会を今年5月以降、5回開催して通知表廃止を打ち出し、9月22日の校長会で了承された。27年度から4年生も廃止するが、5、6年生については進学に支障が出る可能性があるため廃止しない。
佐藤嘉晃教育長は「いじめや不登校などが全国的に増える中、より低学年のうちから教員が親や子供に向き合う時間を増やすことで、こうした問題も改善されることを期待したい」と話している。【照山哲史】
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